おきなわワールド

あいつらを沖縄まで呼ぶからには、
中途半端な結婚式は許されない、だから俺流にする。

貸し切ったぜ「おきなわワールド」 。

沖縄を存分に味わう結婚式にタブーはない。

昼間は観光スポットになっているみんなの「おきなわワールド」。

その「夜」を貸切る。

俺たちの結婚式のために。

集合場所と時間は暮れなずむころの国際通り近くのバスターミナル。

まるで遠足のように「◎◎様ご一行」とレトロな張り紙がバス正面にある。

…ただ、この時点でまだゲストには「おきなわワールド」に行くことは秘密。

「まったく、いくつになったと思ってるんだ。

バスに乗ればわかる結婚式なんかきいたことないぜ」。

バスの中には、知ってる人多数ご縁ある人多数。

挨拶近況報告、すでに歌い出す人もいて、あっという間の30分。

バスが止まったのは、すでに閉館時間少し前の「おきなわワールド」。

…時間間違ってないか！誰かが叫ぶ。

これからが「俺たち」の時間。

ナイトタイム、開園のはじまり。

琉球王国の華やかな伝統衣装を着こなしたスタッフが、お迎え。

1時間だけ自由時間をお楽しみください、と。

鍾乳洞散策に、エイサーショーに、ハブとマングースのショーだって。

貸切の園内は、見どころ満載だ。

指定の時間にみんなが集う。

美しい赤瓦の古民家が軒を連ねる、琉球王国城下町で、俺たちの結婚式が始まる。

この時間だけは、みんながひとつになれる時間、すっとしまった時間。

テーブルには、おばあたちの心のこもった手作り沖縄料理が並ぶ。

ドリンクも小ぎれいになんか並んじゃいない。

ハブ種カクテルの「HABUBALL」なんかがどぶづけ状態で自由に飲み放題。

三線、指笛、エイサーの舞。

カチャーシーの輪が広がっていく。

「おきなわワールド」の夜は、 沖縄色に染まった結婚式に煌めく。